「WONDER and WONDER FULL!! な水江未来の世界
小さな「細胞」が自己組織化して奇妙な生命となる。「結晶」が成長してまるで都市や工場のような姿に成長する。水江未来の作品に通底するのは、成長・増殖のイメージだ。そして増殖したイメージは、一定のところまで達すると、からまった糸がすっとほどけるように軽やかに、もとの「細胞」や「結晶」へと回帰していく。ひたすら流転していく「細胞」と「結晶」。その流転と広がりには終わりがない。
真っ白で遠近感のない世界に生まれた「細胞」や「結晶」は、画面を埋め尽くし、画面から飛び出すようにして成長する。だが、その背景となる「白い世界」には、なんの区切りも目印もない。ゆえに白い世界は「ここ」と「そこ」の区別を持たない。映像のフレームは存在するが、それは世界を区切るものではなく、あくまで仮初めの枠組みに過ぎない。
「細胞」や「結晶」は、この無限に均質な空間に無限に増殖していくのである。
それは時間についても同様だ。もちろん作品は、一定の時間が来れば終わる。だが、それはあくまで映像に寄り添ってきた音楽が告げる一旦の終わりに過ぎない。音楽の終了は映像のフレームと同じ、仮初めの終わりに過ぎない。その終わりは、なにかの極相に至っての終幕ではない。作品を超えて「細胞」と「結晶」の流転は続いていく。
この留まることを知らない時間と空間の広がりを内包している点こそが、水江作品の魅力だ。これはよりカラフルに、よりダイナミックになった『WONDER』でも変わらない。
その上で『WONDER』を見る時、その終盤に驚かざるを得ない。ここでは「細胞」たちがその姿を留めず、「細胞壁」とそいの壁に囲まれていた「原形質」(つまりは線と色なのだが)に分かれて、画面を埋め尽くす饗宴を繰り広げる。唯一の絶対的な存在であった白い世界と「細胞」を隔てていた区別が曖昧になり、細胞の自己組織化とはまったく逆のベクトルがそこには働いている。
このエネルギッシュな混沌の先に何が待つのか。それはきっとこれからの作品で明らかになるのだろう。
藤津亮太氏
アニメーション評論家
「体感させて頂いた『ワンダー・フル!!』(監督・水江未来)は眼球から頭蓋骨の中にクル、脳内マッサージでしたよ!!!」
村上賢司氏
映画監督・テレビディレクター『ラブホテルコレクション』『オトヲカル』
「脳ミソの、普段使ってない部分に直接交信してくるような幾何学的有機的洪水の中で確かに、何かが生まれるやさしい物語を、僕は見ました。」
石黒正数氏
漫画家 『それでも町は廻っている』 『木曜日のフルット』
メディア芸術祭マンガ部門優秀賞『それでも町は廻っている』
「水江さんのアニメはいっぱい動いて面白い!」
久野遥子さん
アニメーション作家・漫画家 『Airy Me』
メディア芸術祭アニメーション部門新人賞
「君のフィルムで繰り広げられる変形のドラマを駆け抜け、君の世界に没入するのはいつだってこんな風に楽しいんだ。ワンダーの素晴らしき7分間!私はkickstarterでこのフィルムに参加できたことがとても嬉しい。」
マーク・ベルトラン Marc Bertrand(カナダ)
NFB(カナダ国立映画制作庁)プロデューサー
「君のフィルムで繰り広げられる変形のドラマを駆け抜け、君の世界に没入するのはいつだってこんな風に楽しいんだ。ワンダーの素晴らしき7分間!私はkickstarterでこのフィルムに参加できたことがとても嬉しい。」
マーク・ベルトラン Marc Bertrand(カナダ)
NFB(カナダ国立映画制作庁)プロデューサー
「しあわせな気持ちになり泣きそうになりました。 わたしも大きな生き物のなかで踊っているひとつなのだと思いました。」
obさん
アーティスト(カイカイキキ)
「白い画面に、線や点や色、そして音楽。 のっかって、繋がって、四角いフレームは、ウキウキと動き広がって溢れて踊りだす。 シンプルなのに複雑で、ハッピーなのに物悲しい。興奮しました。」
瀬田なつきさん
映画監督『あとのまつり』『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』
「人間は天使にも悪魔にもなり得るが、パスカルズの音楽はこよなく天使になろうねと約束した水玉だ。水江未来さんの宇宙は寄り添って、僕らの魂を穏やかに解放する。」
大林宣彦氏
映画作家 『この空の花-長岡花火物語』
「意識の流れに誠実な作り手。作画、細胞まみれ!」
加藤久仁生氏
アニメーション作家 『つみきのいえ』
「非常によくわからないけど、生命を感じました!胎教に良さそうなアニメーションだと感じました!」
二階堂ふみさん
女優『ヒミズ』『劇場版 神聖かまってちゃんロックンロールは鳴り止まないっ』
「増殖系の極北。加速する新陳代謝。彼の未来が心配である。」
水野健一郎氏
アーティスト 『Funny Crash』 『KATHY's "New Dimension"』
「食べる行為に近い。食べ物を次から次へと頬張ることでの、混ざり合う口の中、舌で転がし、噛むことでじゅわっと何かが生まれ、ゴクゴクと喉を通っていく際の官能的な触感。胃にたどりついてからでは遅い。あらゆる五感が、口内と喉(食道)に注力している時のような。」
勅使河原一雅氏
アートディレクター・インタラクティブデザイナー 『hello world』
「血沸き肉踊るとはこの事です。自分の見知らぬ細胞も沸き立ち、抽象絵画の歴史の先に広がるプリミティブな原初の世界にダイブします!!!」
丹下紘希氏 映像作家 『Mr.children MV「くるみ」「箒星-Ordinary Beauty-」』
「水江さんのアニメーションは 身体をすり抜け、あらゆるプロセスをすっ飛ばして脳に直接物語をねじ込んでくる。 1秒24枚のシグナルは脳の皺の奥底まで高速で染みわたって 僕を未知の世界までぶっ飛ばしてくれる。 こんな信号を体当たりで送り続けてくる水江さん…怖すぎる…。もう100億回観せて!!!」
ひらのりょう氏
アニメーション作家『ホリデイ』『パラダイス』
「アニメの語源は'anima' 命を与えること。で、これがそのお手本。アニメというよりanima(いのちを与えること)と呼びたい」
しりあがり寿氏
漫画家 『真夜中の弥次さん喜多さん』
「1日に1秒ずつ365日で描かれたアニメと聞いただけでも、作り方オタクな自分は興奮しっぱなし…。その日々の積み重ねによって、いつも以上に凝縮された水江ワールドに、全細胞が震えました。」
川村真司氏
クリエイティブディレクター 『SOUR MV「日々の音色」』
「なにかから細胞。細胞から人間。人間からなにか。1人ではできないアニメーションや音楽。アニメーションは実写と違ってすべてがコントロールできてしまう。それが魅力だったり窮屈だったりしてたけど。アニメーションもこんなにコントロールできない生き物なんだなと知りました。わくわくしました。生きてる。」
今泉力哉氏
映画監督 『たまの映画』『こっぴどい猫』
「めくるめくヘンテコな世界を生きるのだ。」
菊池亜希子さん
女優・モデル 『よだかのほし』『花のズボラ飯』
「Wonderというタイトルどおり、地球の、そして生命の神秘が、たった8分間に凝縮されていて、見終わった後とても清々しい気持になりました。」
佐藤良成氏/ハンバートハンバート ミュージシャン 『おなじ話』『妙なる調べ』
「ただただコロコロと勢いよく伸びて、縮んで生きているいのちみたいなアニメーション! こんなふうにただただコロコロ勢いよく生きていきたいです。」
佐野遊穂さん/ハンバートハンバート
ミュージシャン 『ホンマツテントウ虫』『アセロラ体操のうた』
「かっこ可愛いサイケデリック模様が気持ちいいほどよく動く…だけなのに、泣きそうになるのはなぜでしょう?」
本秀康氏
イラストレーター・漫画家 『レコスケくん』『アーノルド』
「4の息を吹き込まないと
たった1秒を呼吸しない生命。
あなたという奇跡を
一生、愛し続けること。
私の
生きる悦び。」
馬定延/マ・ジョンヨンさん
メディアアート研究
「水江さんのアニメはいっぱい動いて面白い!」
久野遥子さん
アニメーション作家・漫画家 『Airy Me』
「この映像の画面上で、たった1秒間のうちにもいったい何が起きているのか、一度にすべてを把握することは誰にも出来ないまま進んでいくその様子は、まるで自分たちの日常世界のようでもあって、まさにこの「生命を得た映像」は、見ているだけでも脳が覚醒して視野が広がっていくのを感じます!」
トクマルシューゴ氏
ミュージシャン 『アルバム「ポート・エントロピー」』
「抽象アニメーションのニューウェーブ!面白いなあと思いますよ!エライな~思いますよ!!」
古川タク氏
アニメーション作家・イラストレーター 『コーヒーブレイク』『驚き盤』
「ウニョウニョ、ずるずる、スポポポポ、ぶるぶる、ぱぁ~♪ 水江さんヤバイよ、これ生きてるよ!」
しりあがり寿氏
漫画家 『真夜中の弥次さん喜多さん』
「どこかでみたことあるように見えていつも新鮮な印象を与えてくれる、文句のつけようがない水江未来作品はみんなにオススメします。新作『WONDER』もまた人間の営みを観たことないアプローチで描いているように思えて、何度見ても発見することが多く、一言ではいえないけど、とにかく楽しくなりました!」
真利子哲也氏
映画監督 『イエローキッド』 『NINIFUNI』
「水江未来氏は“時間軸”という培養液の中で数多くの命を育んできた稀代の“マッドサイエンティスト”である。小さな細胞の断片から力強く成長した「妄想生命」たちの果てしなき暴走に僕たちは、ただただ圧倒されるしかない。アニメーションでは、完成作品を目にした時の印象がスチル写真で想像していたのと大きく異なる事も珍しくないけれど、とりわけ水江作品では、その振幅がとてつもなく大きい。氏の創造する小宇宙は僅か数分間だけ流れる「時の河」にこそ屹立するのだ。最新作「WONDER」は、稀有な映像作家の誕生から現在に至る脳内史の変遷を赤裸々に綴った“自己ドキュメンタリー”とでも呼ぶべき偉業。「ミズエワールド」の極致に震撼せよ!!」
黒坂圭太氏
アニメーション作家 『緑子/MIDORI-KO』『AGITATED SCREAMS OF MAGGOTS』
「絵が動くだけでワクワクした、幼い頃を思い出すアニメーション。その秘密は狂わんばかりの積み重ねにある。作品作りとはこういうことでもあると思う。」
松江哲明氏
ドキュメンタリー監督 『フラッシュバックメモリーズ3D』
「優れた作家にはそれぞれに固有の「動き」の感覚、マナーというものが備わっている。水江もその例に漏れず、彼独自の閃きに満ちた「動き」のコンポジションによって観る者の知覚を刺激し続けている。」
中村勇吾氏
ウェブデザイナー・インターフェイスデザイナー
「水江未来のアートは、カラフルで躍動感があって、とてもユニーク――まさに新たな生命の息吹。」
エレーヌ・タンゲさん Hélène Tanguay (カナダ)
元NFB(カナダ国立映画制作庁)マーケティング責任者
「映像やってるとやっぱりこう、セクシーな動きをやりたくなるわけです。で、そのうちに、そういうのもういいんじゃないかな?と思い初めて、最終的に「目に刺激が入ればいいの!ビカビカ!」という境地に至ります。(そして最初に戻る)という動画ではないと思うのですがそう勝手に共感しました。」
細金卓矢氏
映像作家 『四畳半神話大系(エンディング)』『日本橋高架下R計画』
「どこの映画祭に行ってもお前はいるけど、いったいどうやって沢山の作品をハイスピードで作ってるんだ?まったく信じられないやつだぜ。」
セオドア・ウシェフ氏 Theodore Ushev (ブルガリア)
アニメーション監督 『リプセットの日記』
「新しいものは、また古いものに立ち返る」
フランク・モリス氏 Frank Mouris (アメリカ)
アニメーション監督 『フランク・フィルム』
「君のフィルムは美しい、そして僕は水江未来の前のめりに作り続けていく姿勢が好きだ!僕らはひと時だって退屈しない。さぁ「紙」に「手」で!」
ジョルジュ・シュヴィツゲベル氏 Georges Schwizgebel (スイス)
アニメーション監督 『78回転』 『JEU』
「水江未来の発する創造と言う名のスパークは日本を超え、遥か遠くまで輝いている。彼の作品はインディペンデント・アニメーションを牽引する声のひとつとして、国際的に目立っている。」
マルコム・サザーランド氏 Malcolm Sutherland (カナダ)
アニメーション監督 『バードコールズ』 『フォーミングゲーム』
「俺たちって、同じ精神でアニメーション作ってるよな!」
アンドレアス・ヒュカーデ氏 Andreas Hykade (ドイツ)
アニメーション監督 『愛と剽窃』
「水江未来は現代の日本で最も興味深い若手のアニメーション作家、グラフィック・デザイナーである。彼のスタイルは、一風変わったキャラクターと、奇怪な色、そして妙な感覚でいっぱいだ… 未来のビジュアル世界は体験する価値あり!」
ウロ・ピッコフ氏 Ülo Pikkov (エストニア)
アニメーション監督 『ディアロゴス』
「水江がアニメーションを作ってるって!? ワクワクするね。見たい!」
ダーレン・アロノフスキー氏 Darren Aronovski
(アメリカ)
映画監督 『ブラック・スワン』